MENU

生え際後退のサインとは?生え際が薄くなる原因と対策と治療までご紹介

最近、テレビのコマーシャルやインターネットの広告などで、AGA(男性型脱毛症)という言葉を目にしたり、耳にしたりする機会が増えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

AGAは男性に見られる代表的な脱毛症で、日本人男性の薄毛の大半を占めるとされています。AGAを発症した場合の特徴の1つが、額の生え際が徐々に後退する点です。ただ、女性であっても何らかの原因によって、額の生え際が後退するケースも見られます。

では、生え際の後退にはどのようなサインがあるのでしょうか。こちらのページでは、生え際が薄くなる原因や対策、および専門クリニックにおける治療法などについて詳しく解説しています。

目次

生え際後退のサイン・見分け方とは?

生え際交代のサイン・見分け方としては、以下のようなポイントがあげられます。まずはいくつ当てはまるかチェックしてみてください。

  • 鏡を見たときに以前と比べておでこが広くなってきたような気がする
  • 額の生え際に産毛が目立つようになってきた
  • 髪の毛全体のボリュームが減少してきた
  • 髪の毛にハリとコシがなくなり、ペタンと寝てしまう
  • 排水溝に詰まる抜け毛や、ドライヤーの後に床に散らばる髪の毛が増えてきた
  • 父親や母型の祖父に薄毛の人がいる
  • 成人男性である

以上の項目に当てはまる数が多ければ多いほど、AGAの発症にともなって生え際の後退を起こしている可能性が高いと言えるでしょう。AGAは思春期以降に見られる脱毛症であるため、基本的に成人男性が発症するのが一般的です。

参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会

日本人男性の場合は、20代後半以降に発症する例が多くなっていますが、10代後半や20代前半の方であっても、発症する可能性はゼロではありません。ただ、AGAの進行は大変ゆっくりであるため、気が付いたら髪の毛が薄くなっていたというケースも珍しくないのです。

今すぐできる!生え際後退のセルフチェック方法

AGAはゆっくりと進行する脱毛症であることに加え、前髪を下ろしていると額の生え際に注目することが少ないことから、生え際の後退が起こっているのかどうか、判断に困る方もいらっしゃることでしょう。そこで、今すぐできる生え際交代のセルフチェック法をご紹介します。チェックポイントとしては、以下の3点があげられます。

  • 額の広さ
  • 髪の毛の太さや長さ
  • 頭皮の状態

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

額の広さのチェック

生え際の後退が起こっているかどうかを確認する方法の1つが、額の広さをチェックするやり方です。以下のような方法で、額の広さをチェックしてみましょう。

  1. 左手で前髪をかき上げ、生え際がハッキリと見える状態にする
  2. 右手の中指~小指の3本を揃えて、横向きの状態で眉毛の上にあてる(小指が眉の上にくるように)
  3. 中指と生え際との間にできた隙間の広さを確認する

額の広さには個人差があるため、「隙間の広さが〇センチメートル以上の場合は要注意」などと断言することはできません。しかし、定期的にこのチェックをおこない、以前と比べて小指と生え際との間が広くなっているような場合、生え際の後退が進行していると考えられます。

髪の太さや長さのチェック

髪の太さや長さのチェックも、生え際が後退しているかどうか確認する際の参考となります。生え際の髪について、以下のような点をチェックしてみましょう。

  • 生え際の髪の毛に太くて十分な長さがあるか
  • 髪の毛のハリやコシが感じられず弱々しくなっていないか
  • 以前と比べて生え際の産毛が目立つようになっていないか
  • 生え際の髪の毛が真っすぐ均等に生えているか
  • 額の髪の毛をかき上げたときに、地肌が目立つようになっていないか

以上の項目に当てはまる場合、生え際の後退が進行しているのかもしれません。とくに額の両サイドから後退が始まっている場合、AGAを発症している可能性が高いと言えるでしょう。

頭皮の状態のチェック

生え際の後退をチェックする方法としては、頭皮の状態を確認する方法もあげられます。次のような方法で頭皮の状態を確認してみましょう。

  • 頭皮を指の腹で触ったときに柔軟性が感じられる
  • 指の腹で頭皮を左右に動かしたときに、スムーズな動きが見られる

頭皮の柔軟性が感じられない場合、もしくは頭皮が動かしにくい場合、頭皮の血行不良を起こしている可能性があります。髪の毛は毛母細胞が分裂することで成長しますが、そのためには毛細血管から栄養を受け取る必要があります。そのため、頭皮の状態が悪化している場合、髪の毛の成長に悪影響をおよぼし、生え際の後退を進行させる恐れがあるのです。

生え際が後退した際に考えられる2種類の脱毛症

生え際が後退している場合、2つの脱毛症の可能性が疑われます。

  • AGA
  • 牽引性脱毛症

それぞれについて詳しく解説します。

AGA

生え際の後退に深く関わっている脱毛症が、冒頭でもご紹介したAGA(男性型脱毛症)です。AGAを発症した場合、つむじのまわりから薄毛が広がるケースと、額の生え際から薄毛が進行する場合の2パターンがあります。

先のガイドラインによると、AGAは思春期以降に見られ、徐々に進行する脱毛症と定義されています。後述するように、AGAには男性ホルモンが深く関わっているのですが、女性の場合も更年期になると男性ホルモンの比率が高くなり、薄毛になることが少なくありません。

AGAは英語の「Androgenetic Alopecia」を略したもので、直訳すると男性ホルモンに起因する遺伝的な脱毛症となります。女性の場合に見られるホルモンバランスの乱れにともなう薄毛は、FAGA「Female Androgenetic Alopecia」(女性男性型脱毛症)と呼ばれるのが一般的です。

AGAの進行パターンは、大きく分けると以下の3パターンに分類されます。

O字つむじまわりから薄毛が広がっていくパターン
M字額の生え際が両サイドから後退するパターン
U字M字が進行してO字とつながるパターン

O字(またはO字ハゲ)は、つむじまわりの髪の毛が徐々に薄くなるのが特徴で、どちらかというと日本人男性に多く見られるタイプのAGAの進行パターンです。脱毛した場所がアルファベットの「O(オー)」の形に見えることから、このような名前が付けられています。


M字(またはM字ハゲ)は、額の生え際が両サイドから後退するのが特徴で、どちらかというと欧米の男性に多く見られるタイプのAGAの進行パターンです。前から見た時に生え際がアルファベットの「M」の形に見えることから、このような名前が付けられています。

AGAは徐々に進行するのが特徴の脱毛症ですが、M字ハゲが進行した場合、やがて頭頂部の薄毛とつながり、上から見た時にアルファベットの「U(ユー)」の形に見えることがあります。そのようなAGAの進行パターンをU字(またはU字ハゲ)「と呼んでいます。

ちなみに、女性の場合は、つむじまわりを中心に薄毛が進行するのが一般的です。これは、ルートヴィヒ型と呼ばれ、日本人女性にもっとも多く見られるタイプの進行パターンです。びまん性脱毛症とも呼ばれることもあります。

牽引性脱毛症

牽引性脱毛症は、頭皮に加わった直接的な外力によって頭皮環境が悪化し、抜け毛や薄毛のリスクを高めるのが特徴です。牽引という文字から、髪の毛が引っ張られて抜け落ちるようなイメージを持たれるかもしれません。

実際には、牽引力が働きた場所に局所の血行不良を引き起こし、栄養状態の低下ともなって髪の毛の成長が阻害されます。その結果、頭皮が引っ張られた先で抜け毛が起こるのです。

牽引性脱毛症はいつも同じ場所で髪の毛を結んでいたり、分け目を付けていたりすることで発症リスクが高くなります。どちらかというと女性に多く見られるタイプの脱毛症ですが、男性であっても発症する可能性はあります。

生え際が後退する根本原因と要因

次に、生え際が後退する根本的な原因や、抜け毛のリスクを高める要因について、AGAと牽引性脱毛症それぞれについて見ていきましょう。

AGAの場合

AGAを引き起こす根本的な原因や、AGAの発症リスクを高める要因は以下の通りです。


AGAの原因

AGAの主な原因は、悪性男性ホルモン(DHT・ジヒドロテストステロン)によるヘアサイクルの乱れです。ヘアサイクルは髪の毛が生えてから抜け落ちるまでの周期で、成長期・退行期・休止期の3期に分類されます。

成長期毛母細胞の分裂が活発化し、髪の毛が太く・強く成長する時期。ヘアサイクル全体のおよそ85%~90%を占める
退行期髪の毛の成長が鈍くなり、毛包が退行し始める時期。ヘアサイクル全体のおよそ1%を占める
休止期髪の毛の成長が完全に停止し、毛包が毛穴から離れ始める時期。ヘアサイクル全体のおよそ10%~15%を占める

悪性男性ホルモンであるDHTが、ホルモン受容体である男性ホルモンレセプターに結合すると、抜け毛を引き起こす有害なサイトカインを産生し、髪の毛の成長期が短縮されます。

生涯に起こるヘアサイクルの回数には上限があるため、ヘアサイクルを終えた毛穴が増えることで、徐々に薄毛の範囲広がるのです。

AGAの要因

AGAの発症リスクを高める要因としては、5α-リダクターゼの活発度、および男性ホルモンレセプターの感受性があげられます。先ほどDHTが男性ホルモンレセプターに結合することで、抜け毛の原因となる有害なサイトカインが産生されると述べました。

DHTは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが活性化したものなのですが、その際に触媒として重要な役目を果たすのが、体内の酵素の一種である5α-リダクターゼです。

また、DHTが男性ホルモンレセプターに結合することで、抜け毛の原因となるサイトカインが産生されるのですが、男性ホルモンレセプターの感受性が高いほど、サイトカインが大量に産生されるため、AGAの発症リスクも高くなります。

活発に働く5α-リダクターゼは優性遺伝であるため、両親いずれかが活性度の高い5α-リダクターゼを持つ場合、子どももその活性度を引き継ぐ可能性が高くなります。

一方、男性ホルモンレセプターの感受性は隔世遺伝です。そのため、両親が薄毛でない場合であっても、先祖に薄毛の人がいた場合、AGAを発症する可能性があります。

ここまでの話をまとめると、遺伝的に5α-リダクターゼが活発に働く方で、なおかつ男性ホルモンレセプターの感受性が高い場合、AGAの発症リスクが高くなると言えます。

牽引性脱毛症の場合

牽引性脱毛症を引き起こす原因と、発症リスクを高める要因は次の通りです。


牽引性脱毛症の原因

牽引性脱毛症の直接的な原因は、何らかの外力にともなう頭皮へのダメージです。頭皮にダメージが加わることで、髪の毛が育つ土壌である頭皮の環境が悪化し、抜け毛や薄毛のリスクを高めます。
 

牽引性脱毛症の要因

牽引性脱毛症の発症リスクを高める要因としては、次のような例があげられます。

  • 普段の髪型
  • 誤ったヘアケア
  • 皮脂の過剰な分泌
  • 紫外線
  • 乾燥

牽引性脱毛症の発症リスクを高める要因としては、普段の髪型や誤ったヘアケアがあげられます。いつも同じ場所で髪の毛を結んでいたり、分け目を付けていたりすると、局所の血行不良によって抜け毛のリスクが高くなるのです。

また、1日に何度も髪の毛を洗っていたり、肌質に合わないシャンプーを使っていたりする場合も注意が必要です。そのようなヘアケアの習慣があると、頭皮の乾燥もしくは皮脂の過剰な分泌によって、頭皮環境の悪化による抜け毛のリスクを高めます。

また、外出の際に頭皮を紫外線に晒していると、有害な紫外線によって頭皮環境の悪化を引き起こし、結果として牽引性脱毛症の発症リスクを高めることもあります。

生え際の後退対策と効果的な治療について

生え際の後退に気が付いた場合、できるだけ早めに対策を講じることが重要です。とくにAGAの場合、何も対策しないと確実に薄毛を進行させてしまうため注意が必要です。そこで、AGAと牽引性脱毛症それぞれの改善法、および治療法について見ていきましょう。

AGAの場合

生え際の後退が目立ち始めたら、食生活や生活習慣を改善し、頭皮環境を良好に保つことが重要です。ただし、進行型の脱毛症であるAGAの場合は、治療が必要となるケースもあります。

セルフケアでは生え際の後退を止めることができないようであれば、AGAクリニックに相談するのがおすすめです。クリニックでは次のような方法で薄毛の治療をおこなっています。

治療名治療内容ガイドラインの推奨度
投薬治療内服薬・外用薬による治療A(行うよう強く勧める)
自毛植毛健康な毛穴を皮膚ごと移植する外科的治療男性・B(行うよう勧める)
女性・C1(行ってもよい)
LED・低出力レーザー治療毛乳頭細胞を活性化させる治療法男女ともB(行うよう勧める)
注入療法(メソセラピー)頭皮下に髪の毛の成長因子を注入する治療法C2(行わない方がよい)

参照元:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版|日本皮膚科学会

AGAの治療法はさまざまですが、自分の薄毛の原因、および症状に合わせて正しく選択しないと効果が期待できません。そのため、まずはクリニックの専門医に相談してみることがおすすめです。

牽引性脱毛症の場合

牽引性脱毛症は主に髪形や頭皮ケアのやり方によって発症リスクが高くなるため、普段から次のような点に気をつけることが必要となります。

  • 髪型を変えてみる(結び目や分け目など)
  • 髪の毛の洗い方を見直す
  • 肌質に合ったシャンプーに替える
  • 頭皮マッサージで血行を促進する
  • 育毛剤を利用する

上記のような方法で改善が見られない場合、ミノキシジル外用薬を利用して、発毛を促進する方法もあります。ミノキシジル外用薬を利用する場合は、まず専門のクリニックに相談するよう心がけましょう。

生え際の後退を放置した場合、場合によっては取り返しのつかない結果になることも考えられます。とくにAGAの発症が疑われる場合は、なるべく早めに専門医に相談することが重要です。

生涯に繰り返されるヘアサイクルの回数には上限があり、ヘアサイクルを終えた毛穴からは、どのような治療をしたとしても二度と髪の毛が生えてきません。そのため、生え際の後退が気になり始めたら、早い段階で対策、および治療を始めることが大切なのです。

まとめ

年齢とともに髪の毛のボリュームが減少することは、誰にで起こり得る生理現象の一種と言えるでしょう。しかし、生え際の後退があまりにも早く進行する場合や、同年代の方に比べて薄毛が目立つ場合、何らかの脱毛症を発症している可能性も疑われます。

セルフケアで改善を図ったり、育毛剤を利用したりする方法もあるのですが、原因が分かっていないと、時間と費用を無駄にしてしまう可能性もあります。とくにAGAを発症している場合、適切な治療を受けない限り、薄毛の進行を留めることができません。

そのため、生え際の後退が気になるような場合は、なるべく早めに専門のクリニックを受診するのがおすすめです。早期に対策および治療を始めることで、将来の薄毛のリスクを下げることが期待できます。

目次